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今年の4年生と接してきて、何となく大人だなあと感心した印象があります。彼らは、前の1年間、コロナによるリモート授業を体験しており、ほぼ対面授業に戻った今年度も何人かの学生はリモートでゼミに参加しつつ制作をしてきました。
ところで、昨年のオリンピックでは選手たちの多くがインタビューで「感謝」という言葉を口にしていたのが印象的でしたが、4年生の彼らからも、感謝を直接言われたことはないですが(笑)、いろいろな人と関われること、作品を人に見てもらえることに素直に楽しそうにしている中に、そのニュアンスを感じました。個人的な見解ですが、感謝という意識はとても大人っぽいものだと思います。逆に、感謝のない大人は子供っぽい(笑)。
そういう意味では、このコロナ期は彼ら若い人たちをずいぶん大人に成長させたのではないでしょうか。

2021年度ヴィジュアルデザイン専攻の卒業制作は、7月21日のゼミ決定から始まりました。それから約半年の日程をどのように使うか12のゼミそれぞれに委ねられています。大学で最後となるこの制作機会にあたり、学生たちは自分に向き合い、それぞれ表現するべきテーマを見つけ、誰かに伝えるべく、目に見える形と格闘してきました。その中でもう一つ大人っぽさを感じたのは「ていねい」です。リモートで過ごした1年間が今回の卒業制作に及ぼした影響、それは推測の域を出るものではありませんが、おそらく彼らは、その期間に自分自身や自分を取り巻く環境を一つ一つていねいに観察したに違いありません。
今回の作品を見ると、テーマに対していねいにアプローチしているものが多く、それは見せる上でのていねいさにつながり、それらの作品は伝わりやすく、豊かな奥行きを感じさせました。
デザインとは美術の力を使って本質を伝える行為だと思います。
感謝もていねいも、相手を思ってのことであるのと同時に、自分を大切にすることでもあります。意識していないかもしれませんが、これから彼らはそういったことからデザインするべき本質を見出すのかもしれません。

ヴィジュアルデザイン専攻 主任

澁谷克彦